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親愛なる犀たちへ

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ジャワサイが2月に生息地で誕生していた!

ジャワサイの

世界唯一の生息地で

新たな子サイが

撮影された。




現在ジャワサイは、インドネシアのジャワ島のウジュン・クロン国立公園のみに生息しているが、そこで新たなメスの子サイが数度、設置されたカメラで撮影された。

このサイは、2023年2月生まれで Kaish と名付けられた12才の母親の4番目の子、と推測されている。


新たな繁殖が確認されたことは間違いなく嬉しいニュースであるが、「現在ジャワサイの生息数は約80頭で、毎年平均3頭の子が生まれ増加傾向にあり保護活動は成功している。」というインドネシア政府の楽観的見解は、いくつかの点で疑問視されている。



ジャワサイが2月に生息地で誕生していた!_a0280851_23105092.jpg

Photo(C): the Indonesian Ministry of Environment and Forestry.




参照記事 :

1. Indonesia reports a new Javan rhino calf, but population doubts persist

https://news.mongabay.com/2023/10/javan-rhino-calf-endangered-species-ujung-kulon-indonesia/



2.Flawed count puts ‘glorified’ Javan rhinos on path to extinction, report says

https://news.mongabay.com/2023/04/flawed-count-puts-glorified-javan-rhinos-on-path-to-extinction-report-says/




参照記事によると、インドネシアの環境NGO, Auriga Nusantrra の調査報告書から、以下のことが明らかになっている、という。




1.疑わしい政府発表のジャワサイ生息数80頭。


ウジュン・クロン国立公園内には数百台のカメラトラップが設置されているが、18頭の個体が行方不明で長年に渡りカメラにも撮影されていない。その内3頭は2019年以降死亡が確認されたが公表せず、政府が発表する生息数から削除されていない。また、インドネシア当局は、サイの死亡について十分な調査を実施していない、という。



2. 密猟者侵入の形跡。


30年間は密猟報告はなかったが、2018年からは、罠が発見されたり、銃で撃たれたような傷がある個体がカメラトラップに撮影されているという。政府はそれを否定しているが、国立公園の一部は警備が甘かったり、海に面している地域であるため海側から密猟者が侵入する可能性もあるという。

まだ、密猟されたジャワサイは見つかっていないが、これだけ少ない生息数のところに密猟が加わったら絶滅危機がさらに加速されてしまう。



3. 新たな保護区設置に消極的な当局。


現在ジャワサイの生息地は一箇所であるため、そこに自然災害が起きたり、伝染性の病気が広まったら、一度に絶滅してしまう可能性があるので、一部の個体を移動させて生息地を分けることが望ましいのにも関わらず、資金をジャワサイの保護区の開発に充てようとしている。



4.インドネシア政府の制裁。


当局の見解や方針に逆らう研究者やNGOなどの団体には制裁を加えられるため、正確な調査データの発表が難しい。



<ウジュン・クロン国立公園のジャワサイ生息数グラフ>


茶色:政府発表の生息数

緑:トラップカメラで撮影された数


ジャワサイが2月に生息地で誕生していた!_a0280851_23120310.png





こうした現状を知ると、ジャワサイは生息地が1箇所だけなので、生息域が広いスマトラサイに比べると繁殖の機会も多いので少ないながらも生息数の増加が期待できるのではないかという期待をもつことも難しくなってしまう。


ジャワサイの新しい命が生まれたことを喜びつつ、ともかくインドネシア当局には、とても貴重なサイが2種も暮らす国であることをいつまでも世界に自慢できるよう、絶滅回避を最優先して現状に即した保護対策をとってくれることを願うばかりだ!


どんなに経済的に恵まれた国が望んでも、決して手に入れることのできない希少な動物が生息していることの豊かさを誇りに思って欲しい。



# by dearhino | 2023-10-18 23:35 | インドネシア | Comments(0)

2023年9月スマトラサイ保護区で貴重な赤ちゃん誕生

インドネシアの

サイ保護区で

スマトラサイ誕生!




2023年9月30日、インドネシアのスマトラ島のウェイカンバス国立公園のスマトラサイ保護区でスマトラサイの赤ちゃんが誕生した。出生時の体重は27kg。


1998年に スマトラ島南部に Sumatran Rhino Sanctuary (SRS) スマトラサイ保護区の繁殖プログラムで誕生した4頭目の赤ちゃんとなった。性別はメス。



2023年9月スマトラサイ保護区で貴重な赤ちゃん誕生_a0280851_10452340.jpeg
Photo(C):インドネシア環境森林省


Sumatran Rhino Sanctuary (SRS)は、Yayasan Badak Indonesia(YABI)という財団によって管理されている。



YABI について:

https://badak.or.id/about-us-2/

https://badak.or.id/protection-program/




生まれた子の両親について。


母親のRatu :

ラトゥ♀は、約17年前の小さい頃、付近の住民に大きなブタと間違えられ殺されそうになっていたところを

国立公園のレンジャーに助けられ、保護区で暮らすようになった。推定21才。



父親のAndalas :

アンダラス♂は、2001年、アメリカのシンシナティ動物園生まれで、2007年に繁殖のためにインドネシアのこの保護区に移動した。



今回生まれた赤ちゃんは、

ラトゥとアンダラスのあいだの3番目の子。


2012年、第1子 Andatu アンダトゥ(♂)誕生。

2016年、第2子 Delilah デリラ(♀)誕生。



第一子のAndatu は、

野生由来の♀のRosa のあいだに1子がいる。


2022年、第1子 Sedah Mirah セダ・ミラ(♀)誕生。



この保護区でのスマトラサイは合計9頭となった。


野生由来の♀

Ratu

Rosa

Bina



米シンシナティ動物園生まれの♂

Andalas

Harapan



保護区で生まれた子どもたち

Andatu ♂

Delilah ♀

Sedah・Mirah ♀

New Baby ♀



この保護区で管理されているスマトラサイは、シンシナティ動物園から移動してきたオスのおかげで繁殖が進んでいるが、彼らが動物園で飼育されていた最後のスマトラサイだった。


もう動物園から連れて来ることができるスマトラサイはいない。



しかし、野生下では極めて深刻な絶滅にある。


保護区のこの9頭を除いたスマトラサイの生息数は、僅か34~37頭というのが最新の調査データである。


今回、生まれた赤ちゃんもスマトラサイの未来のためには本当に貴重な命だ。


将来は血縁関係のない繁殖相手のオスが見つかり、子孫を増やしてくれたら、と願う。



現存するサイのなかでは最も原始的な種と言われる貴重なスマトラサイが地球に残ってくれますように!!





参照記事:


1.

RARE RHINO BIRTH AT SUMATRAN RHINO SANCTUARY IN WAY KAMBAS NATIONAL PARK


https://rhinos.org/blog/rare-rhino-birth-at-sumatran-rhino-sanctuary-in-way-kambas-national-park/



2.

絶滅危惧種のスマトラサイに赤ちゃん誕生 インドネシア

https://www.cnn.co.jp/fringe/35209846.html









# by dearhino | 2023-10-14 12:05 | インドネシア | Comments(0)

南アフリカのサイ牧場の2000頭のサイと土地をオークションに!

南アフリカの

サイの大規模繁殖施設、

売却のためのオークションで

入札なく、個人交渉が進行中。



南アフリカで最大のサイ繁殖施設が、経営難からオークションで売りに出されることになった。



The platinum Rhino breeding project という名のもとで展開された「サイ牧場」とも言えるこの施設は、現在 8,500ヘクタールの土地に1,993頭のサイが暮らしているが、オーナーの81才のジョン・ヒューム氏 は資金難のため売却を決断。


4月26日から5月1日までオークションを実施した。


最低入札額は、サイ1993頭(バッファロー213、カバ5、シマウマ7、キリン11 を含む)土地、農機などを含めて 1.000万ドル(約13億円)。


数名のオークション登録者はあったが、期限内に入札者はなかった。その理由は容易に察することができる。


以前に、ヒューム氏はサイの警備に毎月40万ドル(5千万円以上)を費やしている、と語っている。つまりサイ牧場を購入できたとしても、以後それだけの経費がかかるということだ。


牧場の所在地は非公表であり、それだけの警備費をかけていても、これまで約50頭が密猟されている厳しい現状がある。


だからこそヒューム氏も財政破綻してしまったのである。


ヒューム氏の家族からの情報によると、状況は厳しいが個人的な交渉は進行中だという。


ヒューム氏は、ビジネスではなくサイの保全のための決定をしてもらうことを望んでいる。





絶滅危惧種のサイの角は、ワシントン条約で国際取引が禁じられているが、ベトナムや中国などのブラックマーケットでは、角1kg あたり末端価格約6万ドル(約800万円)で密売されている。



「死んだサイの角の方が、生きたサイより価値があるのが現状だ。」


" Unfortunately, on the black market, a rhino horn from dead rhino is still worth more than a live rhino "

というヒューム氏の言葉に、頷くしかない。




オーナーのヒューム氏。

南アフリカのサイ牧場の2000頭のサイと土地をオークションに!_a0280851_19360671.jpg

Photo(C)Cornell Tukiri





リゾート建設事業で成功し億万長者となったホテル王ヒューム氏がこのプロジェクトを始めたのは2008年のこと。現在81才の彼が、66才のときだ。


参照記事4.のなかで、彼はこう語っている。



「サイの小さな群れがいる田舎の小さな牧場で引退生活を送っていたら、サイに惚れ込んでしまった。密猟から生き残るのが困難な状況から抜け出せず、もう積んでいるサイに!私は心を動かされやすいタイプなのかもしれない。



" Hume said he fell in love with rhinos after retiring to a small ranch in the countryside with a small crash of rhinos. “I’m sympathetic and emotional. Rhinos are underdogs. They stand the least chance of surviving poaching,” he told the Daily Maverick. “It’s impossible to say what these 2,000 rhinos have cost me. Billions. I was rich then. And now I’m not.”




彼の繁殖プロジェクトは、200頭のサイから始まった。2013年に南アフリカの国立公園から90頭を購入しているが、毎年ほぼ10%づつ繁殖させ、15年間で10倍の2000頭にまで増やした功績は大きい。


現在シロサイの生息数は1万8.000 頭なので、その1割以上が彼のサイということになる。


もし彼がこのプロジェクトを思い付かなかったら、現在シロサイは1万6,000頭しかいない。絶滅をくい止めるための貴重は2000頭だ!



ヒューム氏のサイ牧場。

南アフリカのサイ牧場の2000頭のサイと土地をオークションに!_a0280851_19362284.jpg

Photo(C)Brent Lindeque


当初から彼には一貫する考えがあった。それは、サイの角を売った利益でサイを保護するべき、ということ。従って、ヒューム氏のサイ牧場では、定期的に角がカットされ厳重に保管されている。


保管されている10トンのサイ角、密売価格にすると約5億ドル(670億円)相当も、交渉次第で今回の売り渡し項目に加えられる可能性もあるという。



プロジェクト開始の2008年の時点で、既にサイ角の国際取引はワシントン条約で禁止されていたが、南アフリカ国内でのサイ角売買はまだ合法だった。ところが、2009年には南アフリカ国内での売買も禁止となる。


しかし、ヒューム氏をはじめとしたサイの所有者らが裁判所に申し立てをして、2017年には国内での販売は再び解禁となった。


その後ヒューム氏は264本の角をオークションで売ったが、現在は販売していない。サイ角の需要は、主として漢方薬として使用するベトナムや中国など東アジアにあり、南アフリカ国内では殆ど消費されない。



国際取引が合法化してアジアに向けてサイ角を輸出できなければ利益は得られないのだ。そのため、ヒューム氏らサイの所有者は熱心にロビー活動を行い、ワシントン条約で禁止されている国際取引の合法化を訴えた。


しかし多くの保護団体の強い反対もあり、ワシントン条約締結国会議で合法化の提案は否決され続けている。


そのため、サイ角販売で利益を得られないヒューム氏のサイ牧場は財政的にとても困難な事態になった。2018年には半分を購入してもらうパートナーを募集したが見つからなかったそうだ。




サイ角の国際取引の合法化反対の根拠は、サイが絶滅危惧種種だからという原則論に加えて、以前に象牙を例外的に合法化したところ需要が刺激され密猟が増加し今に至っているという実例があるからだ。


それに対し、ヒューム氏らは、合法サイ角を市場に多く供給すれば、価格が下がり密猟が減ると主張している。




私もこれまで報道で知るヒューム氏について、サイ角で儲けるためにサイ角の国際取引合法化のロビー活動に熱心な人物としてあまり好感を持っていなかったが、15年で当初の約10倍の2000頭にもシロサイの生息数を増やした功績は間違いなく大きい。


サイ角の国際取引の合法化はワシントン条約加盟国や保護団体の強い反対があり、ヒューム氏自身にも実現は難しいと認識もあったと思う。それでも、限りなく贅沢に送れる老後の人生と引き換えに全財産を使い果たすまでサイを絶滅から守るために苦労を重ねてきたことは尊敬に値する。


そして今、このプロジェクトを手放す無念さは計り知れないと思う。



もしサイ牧場の継承者がいなければ、2000頭のサイは一体どうなるのだろう?


Save the Rhino International というイギリスに本拠地がある有力なサイ保護団体もそのことを心配しているが、団体の規則で個人所有のサイを資金面で助けることはできない、という。


今は、現在進行中の交渉がサイのためによい結果となることを願うしかない。


最低入札額13億円を使って、ベトナムや中国の富裕層のサイ角需要を止めることができたら、年間6億円の密猟者対策費も要らなくなるのに・・





ヒューム氏の2000頭のサイが野生に放されたとしても、密猟の心配のない地球になって欲しい。





参照記事:


1.


字幕:サイ好き大富豪求む、牧場を競売に 南ア

https://www.afpbb.com/articles/-/3461529

日本語字幕つき動画あり。



2.


Future of 2 000 white rhino at stake after failed auction

https://www.capetalk.co.za/articles/472693/future-of-2-000-white-rhino-at-stake-after-failed-auction



3.


Wildy successful Rhino breeding project goes on auction in April

https://www.capetalk.co.za/articles/467070/john-hume-announces-plans-to-auction-off-his-rhino-conservation-project




4.

South African rhino-lover seeks billionaire successor

https://www.france24.com/en/live-news/20230424-south-african-rhino-lover-seeks-for-billionaire-successor




5.



White rhinos for sale, one careful owner: tycoon looks for a billionaire to buy his conservation ranch


https://www.theguardian.com/environment/2023/apr/28/white-rhinos-for-sale-one-careful-owner-tycoon-looks-for-a-billionaire-to-buy-his-conservation-ranch



6.


An Inside Look at the World’s Biggest Rhino Farm


https://www.nationalgeographic.com/animals/article/160122-Hume-South-Africa-rhino-farm



7.


World’s largest ‘rhino farm’ at risk of collapse

https://www.savetherhino.org/thorny-issues/rhino-farm-at-risk-of-collapse





参照記事7.より原文一部引用 :



Why does John Hume keep rhinos?


Both white and black rhinos are bred at BDR, though the majority are white rhinos, the less endangered of the two species. As a CBO, the rhinos are managed more intensively than they would be in the wild, with supplementary food, regular veterinary care, a gender skew towards females, and a proactively managed stud book. The population is estimated to grow by around 10% annually, with a prediction that Hume will successfully breed 200 calves in 2018. Hume’s rhinos make up approx. 8% of the global Southern white rhino population[2].


Every rhino at Hume’s ranch is dehorned. This cyclical routine takes place when a rhino’s horn has grown back sufficiently since it was last removed, approximately every two to three years. Each time, the rhino is anaesthetised for this operation. Hume’s stated main reason for dehorning is to deter poachers; it has also enabled him to build a stockpile of more than six tons.


Hume has repeatedly said that being able to sell off his stockpile would allow him to pay for the costs of keeping rhinos, noting: “If I don’t get money to protect my rhino they will be dead…what I am doing here is simply not sustainable. I am using my life-savings and it can’t last.”[3]


It has been reported that Hume spends R5 million (US $400,000) every month in security costs alone to look after his rhinos. Unfortunately, this has not completely stopped poachers, with around 40 rhinos having been killed since 2014.[4] The huge cost of keeping his rhinos safe from poachers, as well as paying for feed, veterinary care and staff, has seemingly made it impossible to continue under the current financial model.









# by dearhino | 2023-05-10 22:03 | 南アフリカ | Comments(0)

2022年の南アフリカのサイ密猟は448頭!

南アフリカ環境省の発表によると、
昨年2022年、南アフリカでの
サイの密猟数は、448 頭 !

前年2021年の451頭に比べると3頭減少しているが殆ど同数。


2022年の南アフリカのサイ密猟は448頭!_a0280851_18153326.png



2022年の南アフリカの密猟状況で特徴的なのは、サイの生息数も多くこれまで密猟数が圧倒的に多かったクルーガー国立公園での密猟数が激減していること。この傾向は数年前から続いているが今回はかなり顕著だ。

2021年 : 209 件
2022年 : 102 件


モザンビークに隣接する大規模なクルーガー国立公園では密猟数が激減したが、逆に激増したのが中部のクワズルナタル州の小さな州立公園や私有の保護区。これらの場所ではコロナ禍でサファリ観光の収入が途絶えてしまった影響が大きく安全対策の維持が難しくなっていることが新たに密猟者に狙われる原因となっている。

2021年 : 102 件
2022年 : 244 件


クワズルナタル州での密猟の244頭のうち228頭が、Hluhluwe-iMfolozi Park においてであった。

クルーガー国立公園の密猟の減少も決して喜べることではない。なぜなら、2013年以降、クルーガー国立公園のサイの生息数は60%減少し、密猟者にとっては以前よりもサイを見つけるのが難しくなったとも考えられる。単に密猟場所が他の密猟しやすいところに移動しただけなのであろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
英国のサイ保護団体 "SAVE THE RHINO" によると、

密猟の急増が始まった2008年以降に
アフリカで密猟されたサイの数は、
1万 1.690 頭。

2022年の南アフリカのサイ密猟は448頭!_a0280851_23311690.png

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この15年間に
角のために
1万頭以上のサイが
残酷な方法で殺され、
まだそれを止めることが
できない現実は
とてつもなく
悔しく悲しい!








# by dearhino | 2023-03-18 00:51 | 南アフリカ | Comments(0)

スマトラサイの生息数は50頭以下!とは認めたくないインドネシア政府


スマトラサイの

生息数は 50頭以下という

調査結果が国外の専門家から

報告された!


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(C)CYRIL RUOSO/MINDEN PICTURES



数年来、スマトラサイの生息数は80頭未満と言われていたが、IUCNのサイ専門グループとTRAFFIC の新たな調査で、野生では 多くとも 34~37頭 という結果が示された。総数としては、これに加えて保護区での半飼育下の8頭の個体が加わるが、それでも45頭未満、ということになる。


スマトラサイは奥地の密集した熱帯雨林に暮らしているため生息数の把握はとても難しいが、今回の調査は、4箇所のスマトラサイの生息域で、カメラトラップ、足跡、泥浴びの痕跡および森林での植物の食べ跡から生息数を調べている現場のレンジャーから取材した情報に基づいている、という。




しかし、

インドネシア政府は

スマトラサイが

50頭以下に減少という

報告を受け入れない姿勢!



2019年にマレーシア最後のスマトラサイが死亡した後は、インドネシアが世界唯一の生息国となっているが、インドネシアの森林環境省は、自国のスマトラサイが50頭以下に減少している、という専門家の最新の調査報告を、外国からの干渉として否定している。


スマトラサイに関してだけではなく、スマトラ島に生息するゾウやオランウータン、スマトラトラなどの減少を示す他国の研究者やNGOの調査結果をインドネシア政府は受け入れず、関係する外国の研究者をインドネシアから締め出す動きをしている。国内の研究者も、政府に批判的な見解を示すと失職する恐れがあるため沈黙するようになった。


その背景には、パーム油の原料であるアブラヤシのプランテーションや木材伐採のために熱帯雨林の消失が、上記のような野生動物の絶滅危機の原因となっている現状にあっても、熱帯雨林の開発を続けたいというインドネシア政府の意図がある。






スマトラサイの個体群の4つの生息域


●スマトラ島


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- Gunung Leuser 国立公園 :


最大の個体群。

カメラトラップに18頭撮影されているので、20~30頭と推測。



-Way Kambas 国立公園 :


 野生個体 12 ~14 頭

 保護個体 8頭

 (Captive breeding center)



-Bukit Barisan Selatan 国立公園 :


数年来カメラトラップの写真もなく発見されたこともないので、生息数は5頭以下、あるいはゼロかもしれない。



カリマンタン島(ボルネオ島)


スマトラサイの生息数は50頭以下!とは認めたくないインドネシア政府_a0280851_14511259.png


-カリマンタン西部地方


  野生個体 2?3頭

  保護個体 1頭(Pahu)

   kelian Lastari sumatran rhino sanctury




? スマトラサイの繁殖の難しさの要因 ?


○広範囲に僅かな生息数がクラスので繁殖のための出会いの機会が少ない。


○繁殖のために健康上問題のあるメスが多い。


○妊娠期間が15ヶ月と長く、出産間隔も3~4年。




? 絶滅と止めるための方策 ?


インドネシア政府と国立公園は出来る限り野生個体を捕獲して繁殖に繋げることを目指しているが、Sumatran Rhino Rescue による捕獲計画もコロナ禍で遅れている。



ここまでくると、もう絶滅を止めることはできない段階になってしまったのではないかと不安に思う。


せめて絶滅を余儀なくされる前に、絶滅危機が切迫すると回避するのがいかに難しいか?絶滅したら新しい技術を使っても種を継続させることは極めて困難、ということを地球上で最も絶滅危機が深刻な大型動物のひとつであるスマトラサイの現状を通じて人々に知ってもらいたい。



残念なことにもしもスマトラサイ絶滅のニュースを聞かなければならなくなった際には、そのとき初めて「毛の生えたサイ、そんな珍しい動物もいたんだ!」とその名を知るのではなく、絶滅から守るための最後の努力が報われなかったことに悔しさと、絶滅に追い込んだ人間としての自責の念を感じて欲しい。


そのためには今からスマトラサイのことを同じアジアに暮らす日本の人たちにもっと知って欲しい。



参照記事 

1.

New estimate of less than 50 Sumatran rhinos shows perilous population drop

https://news.mongabay.com/2022/09/new-estimate-of-less-than-50-sumatran-rhinos-shows-perilous-population-drop

原文一部引用:

The official population estimate for Sumatran rhinos has for years been pegged at “fewer than 80,” but a new estimate compiled by rhino experts from the IUCN and TRAFFIC concludes the number is more likely between 34 and 47 rhinos left in the wild.

Another nine rhinos currently live in captive-breeding centers in Indonesia, where three calves have been born since 2012.

2,
Indonesia bans five foreign scientists, shelves conservation data.


The Indonesian government disputes a recent report from a specialist group at the International Union for Conservation of Nature that estimates there are fewer than 50 Sumatran rhinos left in the wild.






参照記事から原文一部引用:



# by dearhino | 2022-12-02 16:07 | インドネシア | Comments(0)