上野の科学博物館、
「世界遺産ラスコー展・
クロマニヨン人が残した洞窟壁画」
2月19日まで開催
(掲載画像は、同展の撮影可の展示物)
フランスのラスコーの洞窟の発見は、まったくの偶然の産物。
1940年、地元の少年マルセルが飼い犬を連れて歩いていた
ところ、犬が穴に落ちてしまったことがきっかけだった。
秘密の地下通路を発見したと思った少年は、4日後に
友人とランプを持って再び訪れ、そこが絵のたくさん
書かれた古い洞窟であることに気づいた、という。
この洞窟は以前は公開されていたが、急速な劣化のため
1963年から非公開となり、1983年からは近くに
レプリカの洞窟「ラスコー2」が造られ一般公開され
観光客が訪れている。
今回のラスコー展では、実物大の壁画が再現された。
サイが描かれているのは、深さ5m の洞窟のなかで最も
深い部分にある「井戸の場面」と名付けられているところ。
下の画像は、クロマニヨン人によって2万年前に
この洞窟の壁面に描かれたサイの絵。当時のサイは、
現存のサイとちがって全身に体毛があることから
ケブカサイあるいはケサイと名付けられている。
実際には毛がフサフサ生えているのかもしれないが、
この絵で見る限りは、現存のサイの輪郭そのもので、
お尻や後ろ足、隆起部分がある背中の線、頭部など
今のサイの特徴が示されているように思われる。
サイの尻尾の下に付けられた6つの黒い点は研究者に
謎だとされているが、素人にはサイはこのように尻尾を上げて
勢いよく後ろに尿を飛ばすので、それを表現しているように
思えてしまう。もしこれが排尿の場面だとしたら、
その時のサイの体勢というか腰つきを見事に描いている。
当時はマンモスの時代。
ケサイとマンモス。
サイが描かれている「井戸の場面」は、
特に謎が多いところとされている。
サイの向かって右側には、
トリの頭をした「トリ人間」が横たわり
その右手の下に、足長の鳥のように見えるものは
鳥を彫刻した投槍器だと考えられている。
「トリ人間」のさらに右側には、トリ人間の
頭を突くバイソンが描かれ、そのバイソンの腹部は
傷ついて腸が下にはみ出している、と解釈されている。
上野動物園のクロサイの放飼場の前にも、ラスコーの壁画の
この場面についての解説パネルがありました。
上野動物園のクロサイ・マロ♂