2016年、南アフリカで
密猟されたサイは1015頭。
昨年9月に発表された2016年9月までの
サイの密猟数は702頭。それ以来、
密猟数は公表されず、ほぼ半年ぶりの今年2月末に、
2016年末までの密猟数の総計が発表された。
密猟数は、サイ保護のための重要なデータと
なるので、保護団体からは発表の遅れを
批判されている。
●南アフリカのサイの密猟数の推移
2014年をピークに、
密猟数は僅かな減少を示している。
2013年 1004
2014年 1215
1215年 1175
2016年 1054
「レンジャーや保護チームによる取り締まり活動により
密猟数が減少した。」というモレワ環境大臣の見解も
事実ではあるが、サイの密猟状況に関しては、
決して事態が好転しているわけではない。
ここ10年間に密猟が急増が原因で、
サイの生息数が減少し、密猟者がサイを見つけることが
以前より難しくなった。その現実が、密猟数の増加を
止めるいう側面もあるのだ。●クルーガー国立公園でのサイの密猟数
2015 年 826
2016 年 662
南アフリカとモザンビークとの国境沿いにある
クルーガー 国立公園 Krugar National Park
(広さは日本の四国とほぼ同じ)での
サイの密猟数は上記の数字が示すように、
2015年から2016年にかけて約20%減少している。
サイの密猟数が減少しているのとは逆に、
ゾウの密猟数が大幅に増加するという
新たな事態がクルーガー国立公園に
起きている。
2014年 2 頭
2015年 19 頭
2016年 46 頭
これまでは、クルーガー国立公園での
ゾウの密猟は問題になっていなかったが、
この勢いで増加すると大変なことに
なってしまう。●クルーガー国立公園のシロサイの生息数2010年頃 1万頭以上
2015年 約8800 頭
最近 約7200 頭
残念ながら、上記のように明らかにサイの数が
減っていることが、密猟数の減少に関係していると
考えられる。
●サイの密猟およびサイ角の密輸に関する逮捕者数
2015年 317名
2016年 680名
2016年には逮捕者数は2倍以上となっている。
但し、逮捕されても起訴される人は僅かで
2015年では54名しか起訴されていない。
ここにも、密猟が減らない原因がある。
また、注目しなければならないのは、サイの
密猟の多発地域が新たに出現したことである。
特に、クワズールー・ナタル Kwazulu-Natal 地区では
2016年に159頭のサイが密猟されているが、
2015年は104頭だった。前年に比べ、何と
1.5倍のサイが殺されてしまったのだ。
クルーガー国立公園 & クワズール・ナタル地区おまけに、今年に入ってからは、
Kwazulu-Natal の 母親を密猟で殺されてサイの
保護施設 Thula Thula Rhino Orphanage に
密猟者が侵入し、角が比較的大きいサイの子が
2頭殺され、角を奪われるという事件も
起きている。
ブログ内関連記事 :
「南アフリカのサイ孤児保護施設で残虐な密猟」
http://dearhino.exblog.jp/23673086/(2017.02.24)
サイの密猟の状況は引き続き、
まったく楽観を許されない。
参照記事 :
1.
Latest Official South African Rhino Poaching Statistics.2.
ANALYSIS:Lies, Damned lies and rhino statistics.3.
Govt.tight-lipped on rhino poachings stats.参照記事2より一部原文引用 :
Environmental Affairs Minister Edna Molewa announced on February 27 that 1,054 rhinos were killed for their horns nationwide during 2016 — compared with 1,175 in 2015.