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親愛なる犀たちへ

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密猟防止のサイ角のトリミングはサイへの弊害はあるか?


密猟防止のための

サイ角のトリミングは

サイに悪影響なしという

研究結果!



英ブリストル大学獣医学校とナミビアの環境省、Save the Rhino Trsut が、クロサイにおける角のトリミングの影響について初の研究を実施した。


ナミビアのクロサイの4つの集団を対象として、角をトリミングされたサイと角がそのままのサイについて、メスの最初の出産年齢と出産間隔、生まれた子の生存率、さらに寿命、死因などを比較したところ有意差は見られなかった。


角のトリミング処置のために鎮静剤を使用すること、それから角をなくした状態で暮らすことが、サイに何らかの影響を与えることが懸念されていたが、この研究からは、特に弊害はなし、という結果が出された。


密猟を防ぐためとは言え、人為的に本来の角を切ることは望ましいことではないが、悪い影響はないと判明したことはせめてもの救いだ。


但し、角のトリミング自体が密猟防止に本当に効果があるかという点については否定的は意見もある。


その根拠は以下のことにある。サイを捕獲して鎮静剤を投与して角をトリミングすることは費用のかかる大変な作業なので頻繁に角を切ることはできないし、角は1年に6〜7cmほど伸びるので殆ど角がない状態はそれほど長くない。密猟者は、見つけたサイの角の長さを確かめることなく撃つことも多い。





密猟防止のサイ角のトリミングはサイへの弊害はあるか?_a0280851_18362708.jpg

(C):Piet Beytell, Namibian Ministry of Environment, Forestry and Tourism




参照記事:


1.

No evidence that dehorning black rhinos negatively impacts the species’

or survival, study finds

https://www.bristol.ac.uk/news/2022/september/black-rhinos-dehorning.html

2.

No evidence that dehorning black rhinos negatively impacts the species' reproduction or survival, study finds

https://www.sciencedaily.com/releases/2022/09/220921104757.htm


3.

No evidence that horn trimming affects white rhinoceros horn use during comfort behaviour and resource access


https://brill.com/view/journals/ab/71/3/article-p243_1.xml?utm_source=pocket_saves



参照記事1.より原文一部引用


There are no statistically significant differences in key factors of population growth - breeding, birth, survival, life span and death - between dehorned or horned black rhinos new research, conducted by the University of Bristol Vet School, Namibian Ministry of Environment, Forestry and Tourism, and Save the Rhino Trust has found.


密猟防止のサイ角のトリミングはサイへの弊害はあるか?_a0280851_11124616.jpg



# by dearhino | 2022-11-19 22:32 | ナミビア | Comments(0)

角の長いサイが密猟され続けた結果、サイの角の長さが短くなった!


数千点の500年以上前からのサイの絵画や写真などによる2つの研究結果。


密猟が原因でサイの角が短くなったことも判明。



British Ecological Society 英国生態学会の People and Nature 誌の最新号には、過去500年以上の膨大な数のサイの絵画や写真の画像を使ったサイに関する興味深い研究結果が掲載された。研究に携わったのは、
ケンブリッジ大学と、Rhino Reserch Center (RRC)の研究者。



研究のテーマは2つ。


1.「人間とサイの関係は、時代の変遷と共にどのように変化したのか?」


2.「19世紀から21世紀のあいだにサイの角の長さに変化がおきたか?」



●テーマ1の研究方法と結果。


研究方法:

RRC のサイトに保存されている過去5世紀以上にわたるサイの絵や写真3,158点のサイの描写の変遷からサイと人間との関係の変化を分析。19世紀半ば以降はシロサイの絵や写真が多いが、それ以前は主にインドサイのものだった。当時はヨーロッパとインドとの交流はあっても、アフリカは殆ど未知の大陸だったのだろう。



結果

〜20世紀前半まで :

サイは獰猛な動物のイメージ。ハンティングの戦利品。


分析対象となった写真のなかには、1911年に撮影された米国のセオドア・ルーズベルト大統領が自分で撃ったサイの前に自慢げに立っている写真もある。


角の長いサイが密猟され続けた結果、サイの角の長さが短くなった!_a0280851_22404562.jpg
Photo:参照記事4より。
ルーズベルト大統領と撃ち殺したサイ。



1950年以降 :

サイの生息数が減少したことから、サイは保護すべき野生のシンボルと認識されるようになった。



今でも、動物園のサイの前で「こんなのに追いかけられたら大変だ」といった素朴な感想を真っ先に発する人は多い。





●テーマ2の研究方法と結果。


研究方法

RRCに保存されている画像のなかで1886年から2018年に撮られた80頭のサイの写真で角の長さを測定。



結果:

5種類すべてのサイで、身体の大きさとの比において角が短くなっていることが判明。


長い角をもつサイが多く密猟され減少し、短い角のサイ同士の繁殖で短い角が子孫に伝えられることが背景にあると推測されている。


アフリカゾウでも同様のことが確認されている。



こうした調査に母数が80というのは少し足りないような気がするが、試みとしてはとても興味深い。さらにサンプル数を増やした調査を期待する。




*Rhino Reserch Center (RRC):

http://www.rhinoresourcecenter.com/

これらの画像資料の他、野生や飼育下のサイに関する様々な文献を自由に入手できる貴重なサイト。




参照記事:


1.密猟が淘汰圧となって「サイの角」が小さく進化していた!

https://nazology.net/archives/117102




2.Rhino horns are shrinking (and hunting may be to blame)


https://www.earthtouchnews.com/conservation/human-impact/rhino-horns-are-shrinking-and-hunting-may-be-to-blame/




3.Hunting to blame as analysis of photos spanning 140 years shows rhino horns are gradually shrinking



https://www.independent.ie/world-news/hunting-to-blame-as-analysis-of-photos-spanning-140-years-shows-rhino-horns-are-gradually-shrinking-42109161.html



4.Photos suggest rhino horns have shrunk over past century, likely due to huntinghttps:

//www.cam.ac.uk/stories/rhino-horns-have-shrunk-over-time


https://www.cam.ac.uk/stories/rhino-horns-have-shrunk-over-time



5.Curious collage shows rhino horns are shrinking due to the impact of hunting

https://www.thehindu.com/sci-tech/energy-and-environment/curious-collage-shows-rhino-horns-are-shrinking-due-to-the-impact-of-hunting/article66087274.ece





参照記事より原文一部引用:



Rhinoceros horns across all species have gradually shrunk over the last century and hunting may be the cause, scientists believe.

The findings, published in the journal People And Nature, are based on an analysis of photos of the creatures from the last 140 years.

The experts from the University of Cambridge said rhino horns were seen as a financial investment, hence the animals were often trophy hunted.

The horns are also used in traditional medicines in China and Vietnam.

The researchers believe that shooting rhinos with the longest horns means that only smaller-horned survivors remain.




# by dearhino | 2022-11-14 15:22 | 歴史 | Comments(0)

シンガポールの空港で過去最大量の密輸サイ角を押収

シンガポールの空港で

1.2億円相当の密売価格、

過去最大規模の

サイ角を押収。



10月4日、シンガポールのチャンギ空港、 Changi International Airport で、探知犬(Sniffer dog) が、南アフリカから到着した乗客の2つのカバンに合計34kg の重さとなる20個のサイ角の断片が入っているのを発見した。


シンガポールの空港で過去最大量の密輸サイ角を押収_a0280851_15354305.jpg
(c)AFP PHOTO / SINGAPORE'S NATIONAL PARKS BOARD




密売価格に換算すると、83万ドル(日本円で約1.2億円)。これまでにシンガポールで1度に押収したサイ角の量としては最大の規模だという。



シンガポールの空港で過去最大量の密輸サイ角を押収_a0280851_15355999.jpg

(c)AFP PHOTO / SINGAPORE'S NATIONAL PARKS BOARD





逮捕されたカバンの持ち主はラオスに向かう予定だった。


シンガポール国立公園局の野生生物法医学センターでは、遺伝子検査からサイの種類を特定した後に、ブラックマーケットに出回ることを防ぐためにサイ角を破壊するという。


シンガポールでは、輸送中のワシントン条約違反のサイ角の所持の罰則は、最大で5万シンガポールドル(約500万円)の罰金、あるいは最高2年の懲役刑となる。



コロナ禍で、サイの密猟数はかなり減少しているが、こうして大量のサイ角が東南アジアに持ち込まれている現実をみると、サイ角需要の減少は期待できず、今後またサイの密猟数の増加が危惧される。





参照記事 :


1.

1.2億円相当のサイの角を押収、シンガポール史上最大規模

https://www.afpbb.com/articles/-/3427599



2.

National Parks Board seizes 34 kg of rhinoceros horns; largest seizure of rhinoceros horns in Singapore to date


https://www.nparks.gov.sg/news/2022/10/national-parks-board-seizes-34-kg-of-rhinoceros-horns-largest-seizure-of-rhinoceros-horns-in-singapore-to-date



3.

Amendments to the Endangered Species (Import and Export) Act


https://www.nparks.gov.sg/biodiversity/cites/esa#:~:text=What%20is%20the%20Endangered%20Species,and%20Flora%20(CITES)%20agreement.




参照記事2より原文一部引用:


On 4 October 2022, the National Parks Board (NParks) seized 20 pieces of rhinoceros horns that were being smuggled through Singapore Changi Airport. Airport security and NParks’ K9 Unit detected and inspected two pieces of baggage and found 34 kg of rhinoceros horns, estimated to be worth around S$1,200,000 (approximately US$830,000). The owner of the bags, who was travelling from South Africa to the Lao People’s Democratic Republic through Singapore, was immediately arrested and the rhinoceros horns were seized by NParks. This is the largest seizure of rhinoceros horns in Singapore to date.



シンガポールの空港で過去最大量の密輸サイ角を押収_a0280851_23422384.png



# by dearhino | 2022-10-17 15:45 | 東南アジア | Comments(0)

2022年、南アフリカでは6月までに259頭のサイが密猟された!!

今年の1月から6月までに

南アフリカで

密猟で殺されたサイは

259頭。


8月1日、南アフリカ環境省は今年1月から6月までの国内のサイの密猟状況について発表した。


発表によると、2022年前半の6ヶ月間に密猟されたサイは259頭で、昨年2021年同時期の249頭より10頭増加している。


2022年、南アフリカでは6月までに259頭のサイが密猟された!!_a0280851_00141926.png



259頭のうち、国立公園などの国有地での密猟が210、私有地での密猟が49。


これまで圧倒的に密猟数が多かったクルーガー国立公園で密猟されたのは82頭、クワズール・ナタール州ではクルーガー国立公園を凌ぐ133頭となった。


今年前半の統計で特徴的なのは、クワズール・ナタール州での密猟数が昨年同時期の33頭から133頭へと3倍以上となり、密猟場所が国有地から私設保護区へと移行していること。今後は、政府による州当局と私設保護区への支援がこれまで以上に必要と考えられる。



サイの密猟と角の密売に関して逮捕されたのは69名。



2022年後半の密猟状況がどうなるか気になるところだが、2022年の年間密猟数は最終的には、2021年の年間密猟数451頭を超えないで欲しい!



参照記事:

1.

259 rhino poached in South Africa in first six months of 2022

https://www.dffe.gov.za/mediarelease/creecy_259rhinopoached?fbclid=IwAR0VKitjd0Nd8zRXdywJVgQ046drMl6CMjDkgrl6obuydTahMUNFvH4zlII&utm_source=pocket_mylist


2.259 rhino poached in first six months of 2022 in South Africa

https://www.citizen.co.za/news/south-africa/3164250/259-rhino-poached-six-months-2022/







# by dearhino | 2022-08-08 00:16 | 南アフリカ | Comments(0)

世界銀行がクロサイ保全のための債券を発行

世界銀行は世界初の

「野生生物保護債券」として

”サイ債券” Rhino Bond を発行。



世界銀行は、絶滅危惧種の保護資金不足の解決のために「野生生物保護債券」(WCB: Wildlife conservation Bond )を2022年3月末に発行した。


今回発行されたWCBは、クロサイの生息数回復のために活用されるもので、その資金は、南アフリカのGreat Fish River Nature Reserve保護区とAddo Elephant 国立公園の2箇所の保護地域のクロサイの保全に充てられる。


特定の絶滅危惧種の保護のために債権が活用されるのは世界初のことだ。



世界銀行がクロサイ保全のための債券を発行_a0280851_00212252.png



「発行総額は1億5千万米ドル(約204億円)で、額面金額の94.84%で発行され、5年後に満期償還する。従って、投資家は5年間で年率約1%の最低金利収入が(世界銀行が破綻しない限り)保証されている。



通常は投資家に支払う金利のみを対象の2保護区に無償提供、この方法で元本毀損のリスクを避けている。


投資家は利子を受け取らない代わりに、クロサイ増加率によって成功報酬が得られる。


大ざっぱに言えば、元本保証でクロサイの増加の度合いに応じて報酬があるという仕組みだ。


クロサイの5年平均増加率が4%を超えれば成功報酬(3.7%~9.2%)が期待されるそうだ。


今回の2箇所の対象地域は、直近5年間のクロサイ増加率が9%だった点が選ばれた理由だというので、4%超えの増加の可能性は高いかもしれない。


この試みの成功により、自然保護や環境問題の解決のために今後、民間の大規模な資金を投入できる可能性が広がることが期待されている。



日本でも「サイ債券」の購入は出来るのだろうか?



追加情報 7/20:


日本でもこの「サイ債券」を購入可能か発行元の世界銀行の東京事務所に問い合わせたところ、次の返答があった。


日本でも複数の機関投資家にお声がけしましたが、残念ながら成約には至りませんでした。」


南アフリカのクロサイの保全のための債券は、日本の証券会社などの機関投資家の共感も興味も引かなかったのだろう。サイ?? と一笑に付されたかもしれない。


私は「サイ債券」は世界初の素晴らしい試みで、日本でも絶滅危機の野生動物について関心の高い人々が共感し投資する人も一定数はいるような気がしていたので日本で購入できないのはとても残念だ。


遠い国の野生動物の窮状にも関心をもつ人々の裾野への広がりは日本ではまだまだ遠いことを改めて感じた。




参照記事 :


1.密猟危機に瀕するサイを救う野生動物保護債券

https://www.alterna.co.jp/49334/



2.絶滅危惧種保護を資金使途とする世界初の「野生生物保護債券」

https://www.worldbank.org/ja/news/feature/2022/06/14/yoshiyuki-arima-wildlife-conservation-bond



3.野生動物保護債(Wildlife Conservation Bond:WCB)を発行し、南アフリカのクロサイ保護と現地コニュニティーを支援

https://www.worldbank.org/ja/news/press-release/2022/03/23/wildlife-conservation-bond-boosts-south-africa-s-efforts-to-protect-black-rhinos-and-support-local-communities



4.World’s first ‘rhino bond’ a ‘blueprint’ for conservation finance, says Credit Suisse

https://www.thebanker.com/Markets/Capital-Mkts/World-s-first-rhino-bond-a-blueprint-for-conservation-finance-says-Credit-Suisse?ct=true



参照記事4より原文一部引用 :

The World Bank has issued the world's first wildlife conservation bond, raising $150 million to help efforts to increase the endangered black rhino population in South Africa, the bank said in a statement on Thursday.






# by dearhino | 2022-07-12 10:49 | 南アフリカ | Comments(0)