今年の1月から6月までに
南アフリカで
密猟で殺されたサイは
259頭。
8月1日、南アフリカ環境省は今年1月から6月までの国内のサイの密猟状況について発表した。
発表によると、2022年前半の6ヶ月間に密猟されたサイは259頭で、昨年2021年同時期の249頭より10頭増加している。
259頭のうち、国立公園などの国有地での密猟が210、私有地での密猟が49。
これまで圧倒的に密猟数が多かったクルーガー国立公園で密猟されたのは82頭、クワズール・ナタール州ではクルーガー国立公園を凌ぐ133頭となった。
今年前半の統計で特徴的なのは、クワズール・ナタール州での密猟数が昨年同時期の33頭から133頭へと3倍以上となり、密猟場所が国有地から私設保護区へと移行していること。今後は、政府による州当局と私設保護区への支援がこれまで以上に必要と考えられる。
サイの密猟と角の密売に関して逮捕されたのは69名。
2022年後半の密猟状況がどうなるか気になるところだが、2022年の年間密猟数は最終的には、2021年の年間密猟数451頭を超えないで欲しい!
参照記事:
1.
259 rhino poached in South Africa in first six months of 2022
2.259 rhino poached in first six months of 2022 in South Africa
https://www.citizen.co.za/news/south-africa/3164250/259-rhino-poached-six-months-2022/
世界銀行は世界初の
「野生生物保護債券」として
”サイ債券” Rhino Bond を発行。
世界銀行は、絶滅危惧種の保護資金不足の解決のために「野生生物保護債券」(WCB: Wildlife conservation Bond )を2022年3月末に発行した。
今回発行されたWCBは、クロサイの生息数回復のために活用されるもので、その資金は、南アフリカのGreat Fish River Nature Reserve保護区とAddo Elephant 国立公園の2箇所の保護地域のクロサイの保全に充てられる。
特定の絶滅危惧種の保護のために債権が活用されるのは世界初のことだ。
「発行総額は1億5千万米ドル(約204億円)で、額面金額の94.84%で発行され、5年後に満期償還する。従って、投資家は5年間で年率約1%の最低金利収入が(世界銀行が破綻しない限り)保証されている。
通常は投資家に支払う金利のみを対象の2保護区に無償提供、この方法で元本毀損のリスクを避けている。
投資家は利子を受け取らない代わりに、クロサイ増加率によって成功報酬が得られる。
大ざっぱに言えば、元本保証でクロサイの増加の度合いに応じて報酬があるという仕組みだ。
クロサイの5年平均増加率が4%を超えれば成功報酬(3.7%~9.2%)が期待されるそうだ。
今回の2箇所の対象地域は、直近5年間のクロサイ増加率が9%だった点が選ばれた理由だというので、4%超えの増加の可能性は高いかもしれない。
この試みの成功により、自然保護や環境問題の解決のために今後、民間の大規模な資金を投入できる可能性が広がることが期待されている。
日本でも「サイ債券」の購入は出来るのだろうか?
追加情報 7/20:
日本でもこの「サイ債券」を購入可能か発行元の世界銀行の東京事務所に問い合わせたところ、次の返答があった。
「日本でも複数の機関投資家にお声がけしましたが、残念ながら成約には至りませんでした。」
南アフリカのクロサイの保全のための債券は、日本の証券会社などの機関投資家の共感も興味も引かなかったのだろう。サイ?? と一笑に付されたかもしれない。
私は「サイ債券」は世界初の素晴らしい試みで、日本でも絶滅危機の野生動物について関心の高い人々が共感し投資する人も一定数はいるような気がしていたので日本で購入できないのはとても残念だ。
遠い国の野生動物の窮状にも関心をもつ人々の裾野への広がりは日本ではまだまだ遠いことを改めて感じた。
参照記事 :
1.密猟危機に瀕するサイを救う野生動物保護債券
https://www.alterna.co.jp/49334/
2.絶滅危惧種保護を資金使途とする世界初の「野生生物保護債券」
https://www.worldbank.org/ja/news/feature/2022/06/14/yoshiyuki-arima-wildlife-conservation-bond
3.野生動物保護債(Wildlife Conservation Bond:WCB)を発行し、南アフリカのクロサイ保護と現地コニュニティーを支援
4.World’s first ‘rhino bond’ a ‘blueprint’ for conservation finance, says Credit Suisse
参照記事4より原文一部引用 :
The World Bank has issued the world's first wildlife conservation bond, raising $150 million to help efforts to increase the endangered black rhino population in South Africa, the bank said in a statement on Thursday.
今後の密猟の抑止効果が
期待されるかもしれない
南アフリカの禁固9年の判決
2020年11月に南アフリカのサイの最大生息地のクルーガー国立公園でレンジャーとの銃撃戦で、共犯者2名は逃亡したが、負傷した47才の男は逮捕された。
男は不法な銃器と弾薬、サイレンサーを所持していたため、裁判で罪を問われたが、さらにkukuza Stock Theft Unit という密猟を専門に調査するチームに引き渡された。
そのチームの捜査により、男は隣国のモザンビーク出身で南アフリカに不法滞在していることも判明し、移民法違反の罪も加わり、裁判所が禁固9年の判決を下した。
これまで、密猟者の裁判は迅速に進められることが少なく、量刑も甘くなることが多かったが、今回の場合、密猟は未遂であっても厳しい判例となっていること、クルーガー公園では北部を国境が接しているモザンビークから密猟者が多く入っていることを考えると、この判決による今後の密猟の抑止効果を少しは期待してもよいかもしれない。
参照記事 :
参照記事より原文一部引用:
A 47-year-old man was sentenced to nine years’ imprisonment on Friday for illegal poaching. Sam Khoza (47) was apprehended in the Kruger National Park on November 11, 2020, when a shoot-out between field rangers in the park, Khoza and his two accomplices ensued.
A statement by a provincial police spokesperson, Brig Selvy Mohlala, said two of the suspects evaded arrest, but Khoza, who sustained some injuries during the shooting, was captured. He was found in possession of a rifle, some ammunition as well as a silencer.
インドサイが増加
4014頭に!
The International Rhino Foundation (IRF) によると、インドサイの生息数は、4014頭に達したという。合法ハンティングの標的となりインドサイは20世紀初期には絶滅に近い状況であったことを考えるとよくそこまで回復したと思える。
ネパールでは、2021年3月に6年ぶりに調査が実施され、645頭(2016) から、752頭(2021) に増加したことが判明した。
©IRF
順調な増加は、インドとネパール両国の地域と国家のレベルで、以下の方策を実施した成果と考えられる。
ー繁殖のためインドサイのための生息地の拡大。
ー密猟を防ぐための保護。
ー野生生物犯罪の取締りのための法の施行。
インドサイの70%の生息地のアッサム州では、前回の調査から274頭の増加があった。密猟数も以下のグラフのように減少している。
©IRF
アッサム州では、ここ3年間でインドサイの最大の生息地カジランガ国立公園の面積を430平方km から 1,040平方km 、2倍以上に拡大させている。今年初めには、オラン国立公園も200平方km 拡大させる計画を発表。
アッサム州政府は、繁殖のため密度が高くならないように保護地域のなかでのサイの移動も開始している。繁殖時期には、保護地地域内への観光客の来訪も制限される。
IRFは、パトロールのための車両や機器の購入、警備や犯罪調査のトレーニングなどを提供し、インドの地元NGOである Aarantaku、ネパールの National Trust for Nature と協力してインドサイの保全に力を注いでいる。さらにインドサイの生息地に生える外来植物をコントロールして、在来種の草を育てる支援もおこなっている。
しかしながら、生息数の増加はあるものの、今も危急種として絶滅危機であり、以前の生息域に比べると僅かな狭い地域にしか生息していないのが現状。
©IRF
組織化された密猟者に狙われている状況は今でも変わらないので、決して手放しで喜べるわけではない。
それに加えて、インドサイの死亡の原因として毎年の洪水もある。2020年には、カジランガ国立で8頭のサイが犠牲となった。
参照記事:
1.GREATER ONE-HORNED RHINO POPULATION REACHES NEW HIGH
2.Greater one-horned rhinos on the rise!
3.Nepal’s Greater one-horned rhino population grows
参照記事1より原文一部引用:
the species’ population now numbers 4,014 individuals! The government of Assam, the province in India that is home to 70% of the world’s greater one-horned rhino population, just completed its biannual rhino census. (Nepal, the only other country with greater one-horned rhinos, conducted its rhino census last year.) The greater one-horned population has increased by 274 rhinos since the last count – helped by a baby boom during the pandemic when many protected areas were closed to visitors. For a species that was once perilously close to extinction, numbering fewer than 100 individuals, this recovery is truly remarkable.
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