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親愛なる犀たちへ

dearhino.exblog.jp

三浦英之·著「牙」について

今月、“ アフリカゾウの「密猟組織」を追って "
という副題が添えられた「牙」という本が
出版された。

「小学館ノンフィクション大賞」を受賞した作品だ。

著者は、アフリカ特派員として2015年から
アフリカゾウの密猟問題を本格的に取材した
朝日新聞記者の三浦英之氏。



実際の密猟に手を染める人物に
直接の接触を試みた著者の、日本人記者としての
感覚に基づく取材結果を、日本語で読める
本当に貴重な記録だ。

著者は、この問題に取り組むに当たって、
その方向性について、NPO「アフリカゾウの涙」の
共同代表でケニヤのマサイマラで獣医として野生動物の
保護活動をしている滝田明日香にアドバイスを求めた。

”レンジャーへの同行取材や密猟経験者への
インタビューは珍しくないが、密猟組織に
切り込む取材は少ない。それは危険で困難なこと
だが、ジャーナリストの仕事として遣り甲斐が
あるだろう。” というのが彼女の答えだった。


私も毎日のようにサイの密猟関係の情報を
検索しているが、見つかるのは、
サイの密猟や角の密売に関わって逮捕された 
” 運の悪い ” 犯人たちに関する報道のみで、
彼らを操る大きな力については
伝えられることはない。

象牙とサイ角が同時に押収されることが
多いことからもわかるように、
象の密猟もサイの密猟も同じ構造のなかで
起きていることだ。

だから、この本を読みながら、これまでたくさん
目を通してきたサイの密猟や角の押収についての
英語のネット記事の、のっぺりした内容が、
現実として立体的に目の前に立ち上がって
くるような感覚を覚えて、とても刺激的だった。


ケニヤの中国大使館からの象牙の密輸に
直接携わった人物への画期的なインタビューが
実現した直後に、中国大使館の男が突然、
著者の前に現れた下りは、ミステリー小説を
読んでいるようでドキドキした。

大使館員は著者に、
「これ以上関わると何が起こるかわからないぞ。」
という警告をするために来たのだった。

ジャーナリストの仕事は、関わる対象によっては
本当に命がけだということがよく伝わる
エピソードだ。


結局、著者も中国大使館でのこの件について
最終的な裏付けが足りず記事にすることは
できなかったそうであるが、この本の出版によって
大使館ぐるみの象牙密輸事件の可能性について
広く示唆することには成功している。


タンザニアで象牙の密輸を取り仕切る
中国人ビジネス界の超大物「象牙女王」
についても詳しく書かれていたが、
私がインターネットのニュース記事を読んで
抱いていた彼女のイメージと実際の人物像が
かなり違っていたのも面白かった。


以下は、著者が裁判所で彼女を撮影した瞬間、
本人が気づいたかと思われたときの描写だ。

(本文 P134 より)
”彼女はその場で一旦立ち止まると、胸元のシャツの
ボタンを留め直し、慌てて身繕いを始めたのである。

アフリカではあまり見られない、東洋人の女性らしい
仕種だった。その「潔癖さ」の向こう側に、私は
遠く日本で暮らしている母親の姿を見たような
気がして、一瞬、胸をつかれた。”


私は、「象牙女王」を強欲な鬼婆のようなイメージで
想像していたが、スワヒリ語も堪能な彼女をよく知る 
現地の”密猟者”の証言によると、とても面倒見みがよく親切で、
象牙を値切らない ”いい人” だったようだ。


重さ当たりの密売価格が象牙よりも
はるかに高いにも拘らずサイの角には、
彼女がほとんど興味を示さなかったことも
この本の先程の密猟者の話で初めて知ったが、
それはサイにとっては幸運なことだった。


参照 :

700本の象牙を密輸した罪で、2015年に逮捕された
象牙女王、”Ivory Queen” に、禁錮15年の実刑判決が
下されたという今年2月のニュース記事 ↓


また、2016年に南アフリカで開催された
ワシントン条約締結国会議での象牙市場の
閉鎖をめぐる攻防戦で、国内の象牙市場の存続のため
迷うことなく突き進む日本代表団の
「巧妙な作戦展開」が詳しく伝えられている
ところも大変興味深く読んだ。それが日本の
ことだと思うと、アフリカゾウの絶滅を
阻止したい立場から、とても悔しく
悲しい思いに駆られるものであったが。


これは、アフリカゾウの密猟組織を追った
ドキュメンタリー作品であるが、
サイの密猟問題の視点からも読みごたえがあった。

この本によって、多くの日本の人々が、
ゾウの密猟問題に関心をもち、彼らを絶滅させない
ために、今後は誰も象牙製品を買わなくなることを
そして、日本が象牙売買を禁止することを願う。








# by dearhino | 2019-05-26 06:29 | アフリカ | Comments(0)

ジャワサイには、まだ少し明るい希望も!



インドネシアの環境省は、ジャワサイの地球唯一の
生息地であるUjung Kulon 国立公園で
死んでいるところを発見されたジャワサイが、
若いオスで、死因は年長の個体の攻撃であったと
発表した。

推定生息数が少なくとも69頭であった
ジャワサイが1頭減少して、
推定最小数が68頭になることは
大きな損失であるが、
International Rhino Foundation の
データによれば、ジャワサイの生息数に
関してはまだ希望がもてる、という。


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©International Rhino Foundation

10年前の時点と現在を比べると増加していて、
ここ10年間の増加傾向は確かなのである。

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©International Rhino Foundation

2018年、2頭のジャワサイが死亡したが、
設置カメラには、少なくとも4頭の子サイが
撮影され、ジャワサイの生息数は
少なくとも69頭と推測された。

そして、今回の1頭の死亡で、
生息数は68頭と修正表された。

今年また新たな誕生が期待される。

希望があるとは言え、生息地が1か所であるための
大きな不安材料がある。

ひとつは津波などの自然災害。
昨年末、生息地の近くを襲った津波にような
災害が直撃した場合、想像したくないが、
全滅してしまうかもしれない。

ブログ内関連記事 :
https://dearhino.exblog.jp/239081312/
(2018.12.22)

もうひとつは感染症。今回の死因はそうではなかったが、
感染症が広がったら、1か所にしか生息しない
ジャワサイは全滅の可能性もある。


そういうことが起こらないように
願うしかない。


ブログ内関連記事 :
「ジャワサイの死体が発見された 」
https://dearhino.exblog.jp/239250434/
(2019.05.03)




参照記事1より原文引用 :
"This brought the minimum population number up to 69. Even though the death of Manggala brings the official population down to 68, the hope is that even more births will be recorded in Ujung Kulon this year."

# by dearhino | 2019-05-05 18:41 | インドネシア | Comments(0)

ジャワサイの死体が発見された

3月21日、ジャワサイの唯一の生息地、
インドネシアのジャワ島の
ウジュン・クロン国立公園で
泥の中からジャワサイが発見された。

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(c)the Ministry of Environment and Forestry of Indonesia.



インドネシア森林環境省によると、
この個体は、Manggala と名付けられた
若いオスで、角もまだ完全に伸びては
いない。発見される約12時間前に
死亡したと見られるという。

死因は感染症により疾患ではなく、
身体の表面に少なくとも7ヶ所の
傷があることから、年長のオスによる
攻撃ではないかと考えられている。
尚、密猟の可能性は否定されている。

さらに骨と組織のサンプルから
詳細な検査を実施し死因を確定するという。

 ↓
参考記事 :
2ヶ月後に判明した検査結果でも
ウイルスや密猟が原因ではなく
おそらく縄張りに侵入されたことを怒った
年長オスの攻撃の傷による出血性ショックが
死因と結論付けられた。


昨年は、ウジュンクロン国立公園で、
2頭のジャワサイが自然死したが、
4頭の子(♂2♀2)が誕生。

この個体の死亡により現在生息するジャワサイは、
少なくとも68頭となった。

内訳は、成獣57, 子ども11, ♂37,♀31。 


参照記事 :


参照記事より原文引用 :

A juvenile male Javan rhinoceros (Rhinoceros sondaicus) was found dead last month in Indonesia’s Ujung Kulon National Park, home to the only remaining population of the nearly extinct species.

The discovery of the rhino’s body brings the current estimate of the critically endangered species’ global population to 68 individuals.





# by dearhino | 2019-05-03 15:50 | インドネシア | Comments(0)

2019 アースデイ出展 ゾウとサイ保護NPO「アフリカゾウの涙」

毎年恒例、代々木公園で実施される世界同時開催ベント
”アースデイ” に認定NPO「アフリカゾウの涙」も出展し、
絶滅危機のゾウとサイの保護の必要性を伝えた。

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NPO の活動紹介
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「象牙の印鑑」を持つことに由来する残酷さを
広くために制作された啓蒙動画 "Hankograph" の
紹介と、日本も象牙売買を禁止することを求める
署名に会場で協力してもらう。

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1年間の活動を紹介するニュースレターを配布。
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今年のイースターは、ちょうどアースデイ実施の日と
重なったので、ブースでは淡いイースターカラーの紙で
サイの折り紙をした。
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サイの厳しい現状を紹介したパネル。
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来場してくれた子供たちの塗り絵と
大人たちの折り紙。
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写真による動物クイズ!
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天気に恵まれ、多くの方が来てくれて
サイについてもたくさん話すことができて
よかった。



# by dearhino | 2019-04-22 16:26 | 日本 | Comments(0)

香港でサイ角82,5kgを押収!

4月5日香港の税関は、82,5kgのサイの角を押収!

「自動車部品」として申告された南アフリカから
マレーシアに向けた輸送荷物のX線検査によって発見された。


参照記事 :


今回の押収されたサイ角の総量は、
ブラックマーケットでの価値が
210万米ドル(約2憶3500万円相当)と
推定され、ここ5年間での香港での絶滅危惧動物に関する
一回の押収としては最高額のものとなった。

犯人は逮捕されていないが、香港当局は、
南アフリカで地元の密猟者と手を組んだ
中国の犯罪組織が関わっている、と推測している。

南アフリカ政府もこの事件を受けて、
香港で押収されたサイ角のDNAサンプルを取り寄せ、
南アで捜査中あるいは未解決の密猟事件と
それらの角との関係を調査すると表明。

それが南アフリカの大規模なサイ密猟組織を
捕まえることに繋がることを願う。

香港では昨年から、センザンコウなどの
野生生物に関する押収が急増、
今年2月にもベトナムに向かう旅客の荷物から
約40kgのサイ角が
押収された。

香港での絶滅危機動物の無許可の輸出入の罰則は厳しく、
最高10年の懲役および
1千万香港ドル(約1憶4千万円)の罰金。

今後、厳罰化が功を奏することを期待したい。




# by dearhino | 2019-04-16 09:36 | 中国 | Comments(0)

2018年・南アフリカのサイ密猟数の減少

ようやく2月13日に南アフリカの環境省から
2018年の南アフリカのサイの密猟統計が
発表された。

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(南ア環境省発表資料より)

グラフを見てわかるよう、2018年の密猟数は
769頭で、2017年の2018頭と比べて
259頭も減少している。

2018年8月の時点で、前年の同時期よりも
183頭減少しているという中間報告が
あったので、予想された結果とも言える。


ブログ内参照記事 :
(2018.10.24)


密猟数が千頭を下回るのは2012年以来のこと、
過去最高の1215頭が密猟された2014年から
4年間連続で減少を続けている。





地区別密猟数の内訳 ↓
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(南ア環境省発表資料より)


大部分の地域でサイの密猟の減少が見られる。

しかし、新たな心配もある。
南アフリカのサイの半分近くが生息する
クルーガー国立公園で、サイの密猟は減少しているが、
今まであまり問題になっていなかった
ゾウの密猟が少しづつ増加していることだ。

2016年には46頭、2017年には67頭、
2018年には71頭が密猟されている。


サイの密猟数が減少した理由は、
警備の強化や安全な場所への移動など
密猟防止対策の成果が出たことも考えられるが、
それに加えて野生のサイの生息数が
減少して密猟者がサイを見つけることが
難しくなったという可能性についても
否定はできない。


いずれにせよ、密猟の減少が続いても
1日に2頭以上のハイペースで
サイが殺されていることは変わらない。

アフリカのサイの生息地では今後も粘り強く、
密猟の取り締まりのために、
サイの居場所のモニタリング、
レンジャーの訓練、当局者の汚職防止などの
日々の努力を続けていくことが
不可欠だ。

そして、アジアにおいては、
サイ角消費国であるベトナムと中国の
富裕層のサイ角需要を減らすことが
必要だ。


現在の南アフリカのサイの生息数は
約2万頭であるが、
密猟の急増が始まった2008年から
2018年までに、約8千頭のサイを
密猟で失っている。

ここで密猟をストップさせないと、
20年後には絶滅してしまう。


サイの密猟は南アフリカだけでなく
ケニヤ、ジンバブエ、ナミビアなど
周辺のサイ生息国にも広がっている。
各国の密猟数は数十頭だが、生息数も少ないので
影響は大きい。

2018年の密猟数の大幅な減少は喜ぶべきことであるが、
まだまだ気が抜けない。

今年もまた大きく密猟が減ることを願う。




参照記事 :





# by dearhino | 2019-02-17 16:31 | 南アフリカ | Comments(0)

過去10年間のインドでのインドサイ密猟の合計総数


上記の参照記事によると、
インドでの、2008年から2018年までの
インドサイの密猟数の合計は、
102頭であるという。

そのうち、インドサイの主要生息地である
カジランガ国立公園を含むアッサム州で
犠牲になったのは84頭。

逮捕された密猟者は、209名。

最も密猟が多かったのは、2013年と2014年で、いずれも 22頭。
次が2010年の11頭。 それ以外の年は、10頭未満。

昨年2018年は7頭、2017年は2頭だった。

このデータは、Right to Information Act という、
市民が政府機関に情報を要求することのできる法律に
則って提供されたもの。


但し、2017年の以下の参照記事中の
下記のグラフでの密猟数に基づくと、2008年から2015年の
アッサム州のカジランガ国立公園の密猟数だけでも
合計102頭ということになる。

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どちらの記事の数字の信頼度が高いかは
わからないが、 感覚的には
2008年から2018年のインドのサイの密猟数は
102頭よりも多いのではないかという気がする。

いずれにせよ年間千頭以上が密猟されている
アフリカのサイに比べれば
はるかに密猟の犠牲となるサイは少ない。


しかし、インドでは密猟だけでなく、
洪水で命を落とすサイが少なくない。
2017年には31頭のサイが死亡している。

また、洪水で母親を失ったり、はぐれたりした
サイの子どもが孤児となっている。



# by dearhino | 2019-01-27 23:11 | インド | Comments(0)

津波でジャワサイは無事だったが対策が必要。

昨年末の12月22日、インドネシアのジャワ島と
スマトラ島に挟まれたスンダ海峡で発生した
津波は犠牲者400名以上の大災害となった。

この津波の原因は、アナク・クラカタウ島の
噴火活動の影響と考えらている。

この島は、ジャワサイの唯一の生息地である
スマトラ島のウジュンクロン国立公園の北側にあり
距離が近いため、ジャワサイが無事かどうか
心配されていた。
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(C):WWF

幸い、ジャワサイは通常、国立公園の南岸に沿って
生息していることから今回は無事であった。

しかし、噴火活動は活発に続いているため、
今後、このジャワサイ唯一の生息地が
被害に合う可能性は否定できない。

そうなると、ジャワサイは絶滅してしまう。

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(C):WWF

現在、ウジュンクロン国立公園当局では
ジャワサイの早急の移動を検討している。


参照記事 :



# by dearhino | 2019-01-10 23:28 | インドネシア | Comments(0)

中国が、サイ角取引禁止の限定的解除を中止!

中国の新華社通信のニュースによると、
13日、中国政府は、25年前から継続している
サイ角やトラの骨などの取引の全面的禁止を
今後も続けると発表したという。

中国政府は10月下旬に突如として
サイ角やトラの骨の取引禁止の
部分的解禁を発表したが、
保護団体などの強い非難を浴びて
11月12日その実施延期を発表。

ブログ内関連記事 :
「中国が、サイ角取引禁止の限定的解除を延期! 」


そして、発表のの翌日から年末までの予定で、
サイとトラ関連の違法取引の特別な取り締まりの
キャンペーンを始めたという。

サイ角の売買の部分的解禁が
回避されてよかったが、
一時的なアリバイ作りではなく、
本当に本気で徹底した取り締まりをして、
中国でのサイ角使用ゼロを
めざして欲しい。

参照記事 :



# by dearhino | 2018-12-17 22:56 | 中国 | Comments(0)

中国が、サイ角取引禁止の限定的解除を延期!

10月29日、中国政府は1993年から25年間禁止されていた
サイの角およびトラの骨など関連製品の売買を、科学研究や医療、
文化財や文化交流目的に限って許可するという
大きな方針転換を発表した。

しかしながら、保護団体などの激しい反対を受け
11月12日、中国政府はその実施を延長することを決定した。
思いがけない嬉しいニュースであったが、
中止の決定ではないところにまだ不安がある。

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(C):Getty


もし、サイ角売買の一部解除が実施された場合の
サイへの影響について考えてみたい。

中国政府は、これらの限定された目的で使用する
サイの角の使用は、あくまでも以下に示す
厳格な条件下に限るとしている。

”使用するサイの角は、取引量も規制し、
動物園を除く飼育施設で繁殖された
サイから得る角のみに限る。”

”医療目的として使用できるのは、
国家が認定した医療機関の認定医に限る。”

これだけ厳しい条件を課していれば、
野生のサイに影響を及ぼす恐れはない、
というのが中国政府の主張なのであろうが、
現実はそんなに楽観できるものではない。

まず、この決定のもっとも憂慮すべき影響は、
ベトナムや中国に迷信として伝わる
「サイの角の薬効」に関して、
中国が国家的に「お墨付き」を
与えてしまうことである。

密猟が急増したここ10年、サイの密猟を止めるために
あらゆる保護団体が懸命な努力をしてきたのは、
「サイの角には薬効はない」という科学的事実を、
サイ角の薬効の迷信を信じる中国やベトナムの
サイ角消費者である富裕層に伝えることであった。

そして、その努力を一瞬にして水泡に帰すのが
10月下旬に発表されたサイ角売買の禁止解除の
決定なのである。

国家がその効果を保証する確かな効果のある薬ならば、
どんなに高価でも違法でも、病に苦しむ家族のために
手に入れたいと、今まで以上に患者の家族が
考える当然のことではないか。

病院で合法的に入手できなかった人々は、
密売品をこれまで以上に法外な値段で密売業者に
売りつけられ、結果的いサイの密猟にさらに
拍車がかかるのは誰でも容易に想像できることだ。

象牙の例もあるように、一部の合法取引の存在が
違法取引の隠れみのとなり、違法取引をさらに
増加させる可能性も高いと指摘されている。

WWFやWild Aidを始めとする世界の多くの
野生動物保護団体や保護活動家、研究者などが即座に
「10月の中国の決定は、サイに破滅的な影響を
もたらしかねない」と大変な懸念を示していた。


中国政府は2016年には、国内の象牙販売の禁止という
日本政府も見習ってほしい大英断を下し、
ゾウの密猟を減らすために協力する姿勢を
世界から評価されていたのに、どうして
サイが角のための密猟の増加で絶滅危機にある状況で
サイ角の売買の解禁の動きをしたのであろうか?

中国政府はその理由については明らかに
しなかった。

50万人の漢方薬医師がいる大きな漢方薬市場の強化を
狙っているという見方もある。

また、トラやサイの飼育産業に利益をもたらそうと
しているのでは?という保護団体の推測もある。

実際、中国全土には200ほどの合法的な
トラ牧場があり、野生のトラの2倍の
6000頭のトラが飼育されているという
驚くべき情報さえある。

現在、中国全土にアフリカやインド、ネパールから
連れて来られたサイがどれくらい飼育されているのか
わからないが、南アフリカには飼育数が千頭を超える
サイ牧場もあり、経営者たちは政府や環境団体に、
今は禁止されているサイ角の国外輸出の解禁を訴えている。


11月12日のサイ角売買解禁措置の延長の発表で
中国政府はその理由に言及していないが、ともかく、
25年前に決定されたサイ角とトラの骨の売買禁止の
措置の有効性が継続中であることは明らかにされた。

いつまでの延期なのかは示されていないが、
このまま中止の方向に向かうことを
切実に願うのみだ。


中国がサイ角売買を条件付き解禁を一度は決定したことを
踏まえて、サイの圧倒的多数の飼育国である
南アフリカのサイ角売買に関する政府の今後の動きも
注目されるであろう。

せっかく少し減少傾向のある密猟がまた増えることが
ないよう祈る。






# by dearhino | 2018-11-12 20:03 | Comments(0)

南アフリカ環境省発表の今年8月までのサイ密猟数

9月21日に発表された南アフリカ環境省の
サイ対策に関連する進捗レポートによれば、
2018年1月から8月末までの南アフリカのサイの密猟数は、
前年同時期に比べると、かなりの減少が見られる。

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2018年1月から8月までのサイ密猟数  508
2017年1月から8月までのサイ密猟数  691

統計で示されている今年8月までの密猟数が。
去年の同時期よりも183頭も減少していることから、
2018年の密猟数が昨年よりもかなり減少することも
期待できる。

2013年以来、南アフリカの年間サイ密猟数は
千頭を超えているが、今年は6年ぶりに
3桁に留まることを願いたい。本当は
これからもう1頭も殺されないで欲しいが。


2017年のクルーガー国立公園のサイ密猟数 504
2017年のクワズルナタル地域のサイ密猟数 218

地域別に考えると、サイの生息数が多い
クルーガー国立公園は2017年の年間密猟数は、
前年の4分の3程度に減少した504頭。
今年の8月までに密猟されたのは292頭。

このペースで単純計算するとクルーガー国立公園の
年間密猟数も400程度に抑えられるかもしれない。

クルーガー国立公園とは対照的に、2017年には
前年より37頭も密猟が増加し合計218頭となった
クワズルナタル地域の密猟数も、
今年の8月までの数字を見ると、前年同時期の
163頭から今年は83頭とちょうど半分となり、
増加傾向を断ち切れたようで喜ばしい。

ともかく、この減少傾向が続き、今年の南アフリカの
密猟数が千頭を下回ることを期待する。


<2007年からの南アフリカの年間密猟数の変遷>
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(C)Traffic

参照記事 :




# by dearhino | 2018-10-24 19:38 | 南アフリカ | Comments(0)

10月4日「ゾウとサイの日」グローバルマーチ@上野公園 2018.10.6

2014年10月に東京でも開始された
「ゾウとサイのためのグローバルマーチ」は
今年で5回目を迎えました。
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主催のNPO「アフリカゾウの涙に加え
以下のゾウを保護する団体の皆さまも参加。、

象との絆
象のUNKO elephant paper
トラ・ゾウ保護基金
ボルネオ保全トラストジャパン
(アイウエオ順)
WildAidJapan

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設置テントも前年よりも増えて、
楽しく真剣にゾウとサイのことを考える
イベントとして発展中です。

来場した親子連れの方々がたくさん、
サイの折り紙作りにも参加してくれました。
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ゾウとサイのアンケートも!
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2014年の第1回グローバルマーチ開催時に、
滝川クリステルさんから
頂いたメッセージです。

日本でも少しづつ象牙消費の問題が知られつつあり、
イオン、楽天、メルカリ、そして、印鑑通販の大手
ハンコヤ・ドットコムなどが象牙印鑑の販売を
中止するようになりましたが、残念ながら
4年前と現在では、ゾウの密猟状況の厳しさに
変わりがありません。
サイに関してもまったく同様です。

まだまだ私達は象牙とサイ角の消費を
ストップさせるために
頑張らなくてはならないのです。


# by dearhino | 2018-10-15 16:13 | イベント | Comments(0)

アジア大会のマスコットのジャワサイ

「アジア版オリンピック」とも言われる
ASIAN GAMES , アジア大会( 8/18~9/2)が
インドネシアのジャカルタで開催。



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Image (C):asiangames


今回の大会の可愛らしい公式マスコットは、
インドネシア生息の絶滅危機動物の、
ジャワサイと鹿と極楽鳥。



ジャワサイのマスコットの愛称は、
パワーを示す言葉の Kaka 。

襟に着けているのは、今回の大会の分散開催地で
スマトラ島のバレンバンの伝統的な衣装を
表現しているものだそうだ。

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現在ではインドネシアのみ生息するジャワサイは、
唯一の生息地がスマトラ島のウジュン・クロン国立公園で
生息数は、約60頭あるいはそれより少なく
世界的にも最も絶滅危惧のレベルが高い大型動物だ。

ジャワサイについての説明冊子も競技場の周辺に
置かれているということなので、この機会に
危機的状況が広く認識知られ保護活動が
進むことを期待したい。

金メダリストにジャワサイのマスコットのぬいぐるみが
贈呈されている。

競泳女子400メートルメドレーリレーで、
優勝した日本チームが手にしているのが
ジャワサイのぬいぐるみ。
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Photo(C):共同



 
マスコットの人気は上々で公式グッズショップでは
会期の終盤にはぬいぐるみは売り切れている。

そして、さらなるマスコット効果は、
地球上で唯一のジャワサイの生息地の
ウジュンクロン国立公園の訪問者も15~20%も
急増していることで、、国内だけなく
海外からも来ているそうだ。




柔道着を着るジャワサイのイラストなんて
こういう機会でないと見られない!
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Image source : teras.id





参照記事 :

1.
2.
3.

4.

5.
それ本物?アジア大会「マスコット似ていない問題」
https://www.nikkansports.com/sports/asiangames2018/news/201808310000292.html



参照記事1より原文一部引用 :
Kaka is a one-horned rhinoceros ( Rhinoceros Sondaicus ) that represents strength. Kaka wearing traditional clothes with flower patterns typical of Palembang.


# by dearhino | 2018-08-25 23:43 | インドネシア | Comments(0)

映画「ジュラシック・ワールド」の世界からサイ保護!

日本でも7月13日公開予定の映画
「ジュラシック・ワールド/炎の王国」の
製作現場で、サイ保護キャンペーンのための
PSA (Public Service Ad:公共広告)動画が
製作されていた!

それは、米国に本拠地をおく象牙、サイ角、フカヒレなどの
絶滅危機動物の消費を止める活動をしている世界的な
野生保護団体 WildAid との提携によるもの。

参考 :


動画のなかで「サイの角を買わないで!」と
サイに似た恐竜シノケラトプスの傍らで
訴えるのは、主演女優のブライス・ダラス・ハワード。

以下の記事中で動画を見ることができる。


ブライス・ダラス・ハワード(右)↓
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サイとシノケラトプスに手を添えるブライス・ダラス・ハワード。↑

シリーズ初登場のシノケラトプスは、
トリケラトプス以外に登場する唯一の角竜で
サイと同じ草食獣で身体の大きさも近い。



「ジュラシック・ワールド」の世界から
サイ保護に向けたメッセージは、
とてもシンプル。

EXTINCTION IS
ONLY REVERSIBLE IN MOVIES

絶滅した動物が蘇るのは
映画のなかだけ。

つまり、サイが絶滅したら
二度と地球に戻ってくることはない。


科学技術によって蘇った多くの恐竜が
普通に走り回っている映画の世界とは
対極的な現実に私達を引き戻す
このシンプルな言葉の力は大きい。

今回の公共広告は主に、サイ角消費国である中国とベトナム、
サイの生息地であり角目当ての密猟の場所となっている
南アフリカなどの国々で、映画館、屋外看板、紙媒体そして
SNSなど多岐のメディアで広められる予定だ。

ベトナムや中国の富裕層のサイ角消費者の
目に届き、心に響くことを願う。




参照記事 :



# by dearhino | 2018-07-01 19:24 | アメリカ | Comments(0)

ベトナムでの新たなサイ角の使用目的

これまでベトナム人のサイ角消費の目的は
ガンを始めとする病気治療、2日酔い防止など
何らかの健康改善に関連することや
成功者のステータスを示すためと認識されていた。

しかし、コペンハーゲン大学の
デンマーク人とベトナム人研究者による
最近の研究結果から、新たな目的の
サイ角使用が増加していることが明らかに
なった。


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(C):University of Copenhagen



この研究は、ハノイとホーチミンでの
最近のサイ角購入者30人名に対して実施した
詳細なインタビューに基づくもの。

そこで判明したことは、ベトナムでは最近、
サイ角の粉末を回復見込みのない終末期の病人への
最後の「慰め」というか「癒し」として、
あるいはその家族が末期の病人のために
できる限りのことをしたことを
示す象徴的な「ジェスチャー」として
与える実例が増えているという現状である。

この研究により、さらに以下の2点の
サイ角消費者の実態が明らかにされた。

●サイ角を買うベトナム人は、
純粋に野生のサイの角を好み、サイ角を売るために育てられた
ファーム(飼育場)のサイの角にはあまり購買欲を示さない。

このように密売価格が高くても富裕層のサイ角消費者が
野生由来のサイの角に執着するのであれば、サイ角売買を
合法化してファーム(飼育場)のサイの角を市場に
流通させることには意味がなくなるし、逆に密猟された
野生のサイの角の価値がさらに高まってしまう。


●サイ角購入者に、大規模な密猟、そのためのサイの絶滅危機、
取引の違法性、罰則などの情報を与えても、彼らは関心を
示さない。

研究に携わったニールセン教授は、これらの結果に
基づいて、サイ角需要を減らすための新たな戦略を
立てる必要があると述べている。


「薬効」を期待するわけではない新しい使用方法の
広がりがもしも、サイ角に薬効なし、という認識の
広まりの反映だとしたら、少しは明るい材料かも
しれないが、単なる用途の拡大であるなら
さらなる需要の増加となってしまう。

サイ角の国際取引の合法化が
「野生」のサイの角需要の高まりに繋がる可能性が
この研究結果からも明らかになった。

サイ需要を減らすための新たな戦略は
どう練り直せばよいだろうか?


参照記事 :

参照記事1から原文一部引用:
"For us, the surprising trend is that horn is increasingly being used as a symbolic gesture to console terminally ill family members. "


# by dearhino | 2018-05-21 00:54 | ベトナム | Comments(0)

3/19 地球最後のキタシロサイのオスのスーダン死亡

2018年3月19日、
サイの未来を心配する世界の人々が
以前からずっと覚悟していた日が
ついに訪れた。

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(C):Olpejeta Conservancy





今年1月下旬から、後ろ足の感染症によって

健康状態が悪化していたスーダン。


一時は快復傾向にあったが、

3月19日にとうとう旅立った。


45才という高齢のため感染症の

深刻な合併症を引き起こし、

二度と立ち上がれる見込みがなくなった。

それ以上苦しみを長引かせないため

安楽死という苦渋の選択がなされた。


彼のことを心配していた世界中の人々の

悲しみのメッセージがインターネットを行き交い。

日本でもテレビのニュースで報道され

その死が広く知られた。


スーダンは、その名の由来ともなっている

スーダンという国で野生のキタシロサイとして

1973年に生まれたという。


推定2才のときに捕獲され、チェコの

ドブール・クラーロベ動物園に送られた。


スーダンが生まれた当時、キタシロサイは

700頭程度、生息していたそうだ。


しかし、2008年には野生で絶滅。スーダンは

野生に生まれたキタシロサイの

最後の生き残りとなった。


もし、スーダンが捕獲されずに野生にとどまっていたら、

他の野生のキタシロサイと運命を共にしていたのだろう。


スーダンは、34年間のチェコの動物園暮らしを経て

2009年に、「生息地に近いアフリカの環境の方が

繁殖に有利ではないか。」との見通しから

チェコのドブール・クラーロベ動物園生まれの

他3頭のキタシロサイと共に

ケニヤのオルペジェタ自然保護区に送られた。


しかし、一緒にチェコからケニヤに来た

もう一頭の若いオスのキタシロサイのスニが

32才で2014年10月に死亡。


すでにスーダンは40才を超え高齢のため

繁殖能力がなかったので、

スニは、地球で唯一の繁殖可能なオスの

キタシロサイだった。


事実上この時点でキタシロサイの自然繁殖の

可能性はなくなり、チェコの動物園から

4頭のキタシロサイがケニヤに移動した目的も

水泡に帰することになった。


さらに、その2ヶ月後の2014年12月に

アメリカのサンディエゴ動物園の高齢の

オスのキタシロサイのアンガリフが

推定44才で死亡。


相次いで2頭のキタシロサイのオスが死亡し、

スーダンが地球最後の

キタシロサイのオスになってしまったので

注目が集まった。


スーダンの存在は、

人間が動物たちに何をしてきたか、

その結果は何か、ということを私たちに問い続けた。

彼は立派に使命を果たして寿命を終えた。


ありがとう、スーダン!

さよなら、スーダン! 



現在、地球に残るキタシロサイは,メス2頭のみで

スーダンの娘と孫である

Najin (1989~)Fatu (2000~)。


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(C):AP



3月31日、オルペジェタ自然保護区では追悼式が行われた。

スーダンの石碑は、2014年に死亡した

チェコ生まれの Suni の隣に。

後ろに見えるのは、以前に密猟されたサイの石碑。


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ケニヤの旗の左にはチェコの旗。

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(C):Olpejeta Conservancy




保存された精子からの人工授精が成功すれば

彼の子孫に出会える可能性はゼロではない。


しかし、私たち人間がキタシロサイを

絶滅に導いた事実は永遠に消えない。



参照記事 :



ブログ内過去関連記事:
「唯一の繁殖可能だったキタシロサイのオスが死亡 」
https://dearhino.exblog.jp/2031800
(2014.1.24)

「米サファリパークのキタシロサイのアンガリフ死亡、残るは5頭。 」

「チェコの動物園の最後のキタシロサイ・ナビレ♀死亡」
http://sainomimy.exblog.jp/23502346/
(2015.08.01)

「米サンディエゴ動物園のノラ死亡、キタシロサイは地球に3頭しか残っていない! 」
https://sainomimy.exblog.jp/23904128/
(2015.11.25)




# by dearhino | 2018-04-13 18:43 | ケニヤ | Comments(0)

心配される地球最後のキタシロサイのオスのスーダンの病状

世界で最も注目されているサイは、知る人ぞ知る、

ケニヤのシロサイのスーダン。


3頭しか残らないキタシロサイのうちの1頭。

しかも唯一のオス、45才という

高齢の地球最後のキタシロサイ。


2月末、ケニヤのオルペジェタ自然保護区から

スーダンは後ろ足の感染症のため

健康状態がかなり悪い、というが発表あり、

場合によっては安楽死という可能性も

取り沙汰された。


キタシロサイのことを気にかけている

世界中の人々が最悪の事態を覚悟しつつ、

心から回復を祈った。



幸い数日後に、スーダンの食欲が戻り、

立ち上がることもできるようになった。

感染症の治療が今も続けられているが、

容態が安定してくれることを願う。



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Photo(C):AP スーダン↑



残念ながら、スーダンは高齢で繁殖能力がなく

もう我々はキタシロサイの地球上での絶滅を

見届けるしかない。


キタシロサイの生息地は地形的に分断された

場所にあり以前から数は多くなかったが、

それでも1960年代には中部アフリカに約2300頭は

生息していたという。


しかしスーダン、コンゴ、ウガンダなど周辺国の

内戦が続き密猟や生息地破壊がさらなる減少をもたらし、

野生のキタシロサイはすでに絶滅してしまった。


現存する3頭は、チェコのドヴール・クラロベ動物園で

飼育されていたが、繁殖のためには本来の生息地に

近い環境がよいのではという期待から、2009年に

ケニヤのオルペジェタ自然保護区に移された。


このときもう1頭、スーダンより7才ほど若いオスも

一緒に送られたが、2014年死亡。


結局、ケニヤでの繁殖が

実現する結果にはならなかった。



ブログ内過去関連投稿

「唯一の繁殖可能性なキタシロサイのオスが死亡」

https://dearhino.exblog.jp/20318002/

(2014.10.24)





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Photo(C):AP メスのキタシロサイのNajinとFatu。


キタシロサイの完全な絶滅を回避できる

僅かな希望はある。


それは冷凍保存してある精子と卵子から人工授精し、

ミナミシロサイのメスを代理母として出産させる方法。


さらに今ではiPS細胞から卵子を作って受精卵を

作る方法も研究されている。しかし、マウスでは

成功しているもののサイでの応用実現には

10年以上かかる見通しだそうだ。


今のところ、キタシロサイが絶滅しても

シロサイが絶滅するわけではない。そのときには

地球に存在する唯一のシロサイの亜種となる

ミナミシロサイは、現在約2万頭生息している。


しかし、1日平均3頭のペースで密猟されているので、

早く密猟を止めないとミナミシロサイも絶滅の可能性が

高まる一方だ。



そして、オルペジェタ自然保護区の特別な施設で

暮らす最後の3頭のキタシロサイでさえも

密猟される危険があるので、レンジャーが24時間、

厳重に彼らを警備している。



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Photo(C):National Geographics


参照記事 :


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# by dearhino | 2018-03-15 11:14 | ケニヤ | Comments(0)

2017年の南アフリカのサイの密猟数統計


1月25日に南アフリカ環境省から、
昨年2017年の国内のサイ密猟数の合計が発表されました。
1,028頭です。ちなみにサイは地球全体で約2万9千頭、
主要生息地のアフリカにも約2万5千頭しかいません。


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南アのサイ密猟総数は微減傾向 :

上のグラフからもわかるように、数字の上ではこれまでのピークだった2014年から僅かな減少傾向が続いていますが、カウントされる密猟数は広大な生息地のなかで発見されたものに限るので、数字の信憑性を考えると、密猟が減っていると喜べる程の変化とは言えません。


クルーガー国立公園でのサイの密猟は大きく減少:

昨年は密猟場所に注目すべき変化がありました。例年、圧倒的多数のサイ密猟事件が発生するクルーガー国立公園(四国ほどの面積でモザンビークとの国境に接している)におけるサイの密猟数が2017年は前年の4分の3程度の504件に激減したのです。


クワズルナタル地域が新たな密猟多発スポットに :

その代わりに、もう少し南のクワズルナタル州でのサイの密猟が大幅に増加しました。
昨年3月に起きたサイ孤児保護施設での残酷な密猟事件もこの地域でした。


なぜ、密猟多発地域に変化が起きたか?

クルーガー国立公園でのサイの密猟が減ったのは、密猟者からサイを守るための警備の厳重化したこと、密猟多発場所からの多数のサイを安全な場所への移送したことが功を奏したことなどが理由と考えられています。しかしながら、そうした努力の積み重ねが、密猟場所を移動させただけの結果という皮肉な事実には本当にやりきれない思いがします。

クルーガー国立公園ではゾウの密猟が急増

それだけではなく加えて衝撃的なのは、今までクルーガー国立公園では主にサイが狙われ、ゾウの密猟はあまり問題になっていなかったのですが、昨年はゾウの密猟が明らかに増加したことです。2017年には67頭のゾウがクルーガー国立公園で密猟されました。

また、21名の当局者も密猟に関与したとして逮捕されています。

守るための粘り強い地道な努力が
奪う側にこんな風にたやすく
踏みつぶされてしまう
現実の厳しさ、悲しさを教えられる
2017年のサイに密猟状況でした。



参照記事 :


参照記事2より原文一部引用 :

”Environmental Affairs Minister Edna Molewa said on Thursday a total of 1‚028 rhino were poached in South Africa from 1 January 2017 to 31 December 2017‚ compared to 1‚054 in the same period for 2016‚ representing a decrease of 26 animals.

At the Kruger National Park‚ which has traditionally borne the brunt of poaching‚ a total of 504 rhino rhinos were poached in 2017. This is 24% less than 2016.”







# by dearhino | 2018-01-28 16:08 | 南アフリカ | Comments(0)

心配されるマレーシア最後のメスのスマトラサイ Iman

マレーシア最後のメスのスマトラサイ

Iman の重い病状。


インドネシアとマレーシアのみに残るスマトラサイの生息数は、

もはや100頭以下。


2015年にマレーシアの野生のサイは絶滅宣言が出され

現在、同国では保護下にオスとメスの以下の2頭が残るのみ。


Tam 

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Photo(C): BORA

マレーシアで最後のオスのスマトラサイ。

正式名は Keratam. 

体重 650kg 約30才。

熱帯雨林の木々の葉を毎日50kg 以上食べる。

バナナも大好物。

お腹を撫でられるのが好き。



Iman

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Photo(C): BORA


Tam よりも遅れて保護下に置かれたので

マレーシアで人間が出会った最後の野生の

スマトラサイということになる。

2014年3月に現在の Borneo RhinoSanctuary

連れて来られた。体重500kg

当初から子宮筋腫が見つかり、期待される

Tam との繁殖が心配された。

とても活発な性格。


ブログ内過去関連記事 :

「新たなメスのスマトラサイを捕獲」

http://dearhino.exblog.jp/19569749/

カメラトラップに写ったメスを落とし穴で

捕獲した当時の記事。

のちにIman と名付けられる。

2014.03.16


(Puntung  )

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Photo (C): Sabah Wildlife


顔にできた扁平上皮癌が急速に肥大化し、呼吸困難となり

20176月に安楽死。





現在のIman の状況


201712月から Iman の子宮の腫瘍、

つまり平滑筋肉腫からの出血症状が深刻。


年が明けてからの僅かにほっとする情報は、

食欲が少し回復し、食欲を改善させるために

10種類くらいの木の葉を与えるといつもの量の

半分くらいは食べるようになったということ。

薬を混ぜたバナナとマンゴも3-4kgは食べているようだ。


止血剤のトラネキサム酸投与が、

これまで3回の出血には効果があったので

再び期待されるが、今回は出血量が多く、

出血を止めるには、焼却止血、つまり文字通り

出血部分を焼いて熱により固めることが

必要だと見られている。


Iman は現在、ボルネオ島のマレーシア領の

Lehad Datu Tabin Widlife Reserve

保護されているが、そこには焼却止血ができる

専門家がいないという。


Iman には、乾燥による蹄の裏のダメージの治療も施され

1日2回は放飼場で皮膚の手入れのための

泥パックを受けている。


現在、マレーシアに残されたスマトラサイは

たった2頭であるが、保護区のあるサバ州の

野生動物局はスマトラサイの種を守るため、

人工授精ができるように、スの精子と

メスの卵子を保存している。


半年前に死亡したPuntung は排卵していなかったが、

Iman の卵子は採取されている。

Tam の精子も採取されているが理想的な状態とは

言えないというのが残念だ。


Iman は Tam の繁殖相手として

捕獲されたけれど、その可能性は

もうないのではと思われるが、

症状が回復して生きてもらいたい。



参照記事 :

1.Only two leftin Malaysia


2.Iman, ourlast female Sumatran rhino is farint no better.


3.Iman the rhino eats better ashealth improve


4. Cancer-stricken Sumatran rhino Puntung put down



# by dearhino | 2018-01-07 22:39 | マレーシア | Comments(0)

2017野生生物写真コンテストの最優秀作品「密猟されたサイ」

ロンドン自然史博物館とBBCが主催する
野生動物写真のコンテスト
”the Wildlife Photographer of the Year 2017”の
最優秀作品(Story category 部門)に、
密猟者に残酷に角を奪われたサイの写真が選ばれた。

92か国の5万点以上の応募作品のなかから選ばれた
この写真の撮影者は、
南アフリカの野生動物写真家Brent Stirton 氏。

この密猟現場は南アフリカの
Hluhluwe Umfolozi Game Reserve という
私設保護区。

Stirton 氏は、30体以上のサイの密猟死体を見たなかで、
テーマを最も効果的に反映できるものを選んだそうだ。

角を奪われている際はまだ生きていた思うと
本当に怒りがこみ上げてきた、という。

審査員であるRox Kidman Cox氏は、
「まるで彫刻のような力強さでもって、
あまりにも悲惨な場面を壮大なものに昇華させた手腕は、
最優秀賞にふさわしい。」と述べている。

この作品が選ばれたことで、密猟の残酷さ、
サイの無念さ、人間の愚かさが広く伝えられ、
見る人の心に響き、サイの密猟への関心が
高まることを願う。

受賞作品はココで見てください。大きな画像があります。



# by dearhino | 2017-10-31 19:08 | イベント | Comments(0)