今年1月下旬から、後ろ足の感染症によって
健康状態が悪化していたスーダン。
一時は快復傾向にあったが、
3月19日にとうとう旅立った。
45才という高齢のため感染症の
深刻な合併症を引き起こし、
二度と立ち上がれる見込みがなくなった。
それ以上苦しみを長引かせないため
安楽死という苦渋の選択がなされた。
彼のことを心配していた世界中の人々の
悲しみのメッセージがインターネットを行き交い。
日本でもテレビのニュースで報道され
その死が広く知られた。
スーダンは、その名の由来ともなっている
スーダンという国で野生のキタシロサイとして
1973年に生まれたという。
推定2才のときに捕獲され、チェコの
ドブール・クラーロベ動物園に送られた。
スーダンが生まれた当時、キタシロサイは
700頭程度、生息していたそうだ。
しかし、2008年には野生で絶滅。スーダンは
野生に生まれたキタシロサイの
最後の生き残りとなった。
もし、スーダンが捕獲されずに野生にとどまっていたら、
他の野生のキタシロサイと運命を共にしていたのだろう。
スーダンは、34年間のチェコの動物園暮らしを経て
2009年に、「生息地に近いアフリカの環境の方が
繁殖に有利ではないか。」との見通しから
チェコのドブール・クラーロベ動物園生まれの
他3頭のキタシロサイと共に
ケニヤのオルペジェタ自然保護区に送られた。
しかし、一緒にチェコからケニヤに来た
もう一頭の若いオスのキタシロサイのスニが
32才で2014年10月に死亡。
すでにスーダンは40才を超え高齢のため
繁殖能力がなかったので、
スニは、地球で唯一の繁殖可能なオスの
キタシロサイだった。
事実上この時点でキタシロサイの自然繁殖の
可能性はなくなり、チェコの動物園から
4頭のキタシロサイがケニヤに移動した目的も
水泡に帰することになった。
さらに、その2ヶ月後の2014年12月に
アメリカのサンディエゴ動物園の高齢の
オスのキタシロサイのアンガリフが
推定44才で死亡。
相次いで2頭のキタシロサイのオスが死亡し、
スーダンが地球最後の
キタシロサイのオスになってしまったので
注目が集まった。
スーダンの存在は、
人間が動物たちに何をしてきたか、
その結果は何か、ということを私たちに問い続けた。
彼は立派に使命を果たして寿命を終えた。
ありがとう、スーダン!
さよなら、スーダン!
現在、地球に残るキタシロサイは,メス2頭のみで
スーダンの娘と孫である
Najin (1989~)と Fatu (2000~)。
3月31日、オルペジェタ自然保護区では追悼式が行われた。
スーダンの石碑は、2014年に死亡した
チェコ生まれの Suni の隣に。
後ろに見えるのは、以前に密猟されたサイの石碑。
保存された精子からの人工授精が成功すれば
彼の子孫に出会える可能性はゼロではない。
しかし、私たち人間がキタシロサイを
絶滅に導いた事実は永遠に消えない。
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